今回は胃潰瘍についてお話したいと思います。
胃潰瘍はとても有名な病気です。
「潰瘍」とは胃酸やヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌) 等によって粘膜や上皮が損傷をうけ、脱落、欠損する状態です。
ひどい場合は、組織や臓器 に穴があくこともあります。
長年この病気で悩んでおられる方も多いと思われます。
潰瘍を起こす原因としては、子供のころから胃に住みつき、持続的に胃の粘膜を障害するピロリ菌やNSAIDs(ロキソニンなどの痛み止めの薬)と言われる鎮痛解熱薬などによるもの があります。
その他、肝硬変や糖尿病、ストレス、過労、飲酒、喫煙、刺激物の過剰摂取や暴飲暴食、胃 腸炎に伴う細菌、ウイルス感染などが挙げられます。
また、胃潰瘍の70~90%でピロリ菌が発見されます。 以前は男性に多い病気でしたが、最近では更年期の40代~50代の女性にも多く見られ、若い人にも見られます。
症状としては食後の上腹部や心窩部(みぞおち)の痛み、背中の痛み、嘔吐や食欲不振、吐血、口臭もなどが出現します。
さらに便に血が混じると黒い便(胃酸によって血が黒く変色して便となって排出されます)が出てきます。
性状がコールタールに似て真っ黒な便を「タール便」と言います。
出血の量が多くなると貧血になっている可能性があります(当院では血液検査で調べることができます)、貧血になると血圧が低下し、少し動くだけで息切れやふらつきを生じることがあります。
もし、胃潰瘍を疑った場合は胃内視鏡検査が必須となります。
胃内視鏡検査は胃潰瘍の進行度や傷の深さなどを最も正確に把握できる検査です。
症状が似ている胃がんなどの他疾患との鑑別も内視鏡検査により可能です。
一部の胃がんは潰瘍を形成し、良性の胃潰瘍と鑑別が必要になるため、病理組織検査(胃の組織を一部採取して、炎症の程度やがん細胞が含まれていないなどを調べます)を行います。
胃潰瘍はときに消化管出血や穿孔などの合併症を引き起こすことがあり、内視鏡的止血術や 手術など緊急の処置を要することがあります。
胃潰瘍の基本的な治療は、活動性の出血、あるいは出血の危険がある潰瘍である場合を除き、通常は保存的治療法(プロトンポンプ阻害剤)や H2ブロッカーなどの抗潰瘍剤、必要に応じて粘膜防御剤などを内服していただきます。
またピロリ菌感染が証明された場合はあわせて除菌治療を行います。
胃潰瘍かな?と疑う症状がございましたら、ぜひ当院にご相談ください。
朝食を食べずにご来院いただければ、当日に胃内視鏡検査をご案内することも可能です。
当院では胃内視鏡検査による苦痛を軽減するため、積極的に鎮静剤を使用しています。
鎮静剤を使用する方は、検査後に車、バイク、自転車の運転はできませんので、ご自身での運転のご来院はご遠慮ください。
また、検査後はベッドで1時間程休んでいただき、その後、医師より検査結果の説明があります。
車でのご来院をご希望の方、お忙しい方は在院時間を短縮するために、鎮静剤を使用しない経鼻内視鏡での検査も可能です。
検査終了後、そのまま外来にて医師より検査結果の説明があります。
不安、緊張、恐怖感、嘔吐反射が強い、他施設で辛い思いをしたという方も安心してご予約していただけたらと思います。
当院ではオンライン診療を開始しています。初診の方でも受診可能です。
詳細はHP のオンライン診療予約のページをご覧ください。
ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお尋ねください。